金仏壇に使用される金箔や金粉にも、品質や施工方法の違いがあります。
金箔とは、金・銀・銅を混ぜ合わせた合金を10000分の数ミリまで薄く引き延ばしたもので、一辺を約11cmまたは13pの正方形に仕上げられます。金の純度や製法によって品質に差があります。
金箔の製法
縁付金箔(伝統製法)
特殊な粘土を混入した手漉きの雁皮紙(がんぴし)を灰汁(あく)処理した箔打紙(はくうちし)を使用して製造された金箔。光沢は柔らかく、叩き延ばされた時にできる格子状の跡が特徴です。製造に手間と時間が掛かるため高価です。
断切金箔(量産金箔)
グラシン紙(洋紙)によって製造された金箔。強い光沢があり、中央から放射線状に花が咲いたような模様があるのが特徴です。製造工程が機械化され効率良く生産できるため安価ですが、縁付金箔に比べ変色し易いといわれています。
金箔の純度
金箔は金の純度の違いにより、下記のように分類されます。金の純度が高いほど赤みの強い金箔になります。
- 金の純度-
※上記の合金表は、石川県箔商工業協同組合で規定した合金の割合です。
通常、お仏壇に使用される金箔は4号色〜1号色です。高級仏壇には伝統製法で作られた「縁付金箔1号色」が使用されます。安価品には「断切金箔4号色」が使用されます。
価格的には 縁付金箔4号色(94.43%) > 断切金箔1号色(97.66%)
※純度よりも製法で大きく価格が変わります。
金箔の貼り方
金箔は塗面に接着材を塗布して貼りつけますが、その接着方法によって大きく価格と耐久性が変わります。
金箔用接着材を使用して貼りつける方法
金箔用接着材(ブラック、トレンゾーなど)を用途に合わせて希釈し、吹き付けまたは布等で塗り面に薄く塗り込み、金箔を貼っていきます。作業の効率が良く短期間で仕上げることが可能です。現在、市販されているお仏壇の90%以上はこの方法で製造されています。
伝統技法である「漆押し」で貼りつける方法
塗面に生漆を刷毛や布等で薄く塗り込み、その後均一に拭き上げてから金箔を貼っていきます。漆の残し具合で仕上りの艶が変わります。また、均一に拭き上げないと金箔の艶にムラがでる為、長年の経験と技術が必要です。手間と時間がかかり高価ですが非常に耐久性に優れています。
金粉仕上げ
金箔の代わりに、金の粉末を蒔き付ける技法です。金箔のようなシワや繋ぎ目がなく、上品で落ち着いた金色になり高級感がありますが、たくさんの金を必要とするため、非常に高価です。金箔と同じように金箔用接着材を使用する方法と生漆で接着する方法があります。当然、生漆を使用する方が高価で耐久性に優れています。
※近年、金粉仕上げにそっくりな「金色塗料」を使用したお仏壇が急増しています。金色塗料を吹き付けた上に、微量の金粉を蒔き付けた商品が金粉仕上げとして販売されています。
極端に金の使用量が少なく、また変色の可能性が高いので注意が必要です。