本堂のご新築に伴い、荘厳仏具の御新調と御修復をご依頼賜りました。

ご本尊様(阿弥陀如来様)をご安置する御宮殿と須弥壇を新調させて頂きました。写真では分かりにくいですが、標準の寸法より二回り大きいサイズです。
ご住職様のご希望により、屋根下の斗栱(升組)の段数を通常より二段多くし、極彩色にて仕上げさせて頂きました。また、御須弥壇は通常よりもくびれを大きくしました。
ヒバ製の木地に漆で布を貼り、漆下地で堅牢な下地をつくり、最高級技法である天然漆蝋色仕上げを施しました。伝統技法で製作された縁付金箔1号色を、「漆押し」にて仕上げました。彫刻にはすべて彩色を施し、手打ち金具を取り付けて完成させました。

前卓 御新調
御本山型の前卓を新調させて頂きました。漆下地を施した上に黒漆ではなく「うるみ」と呼ばれる赤茶色の漆を塗り、蝋色仕上げを施しました。
繊細な六鳥の彫刻、龍の袖彫りは極彩色にて仕上げました。極上の手打金具には艶を抑えた本金メッキを施しました。
礼盤 御新調
法要時に御住職様がお座りになる礼盤一式を新調させて頂きました。
貝殻の内側の光沢ある部分を模様に切って貼りつけ、その上に漆を塗って最後に貝を砥ぎ出す「螺鈿」と呼ばれる伝統技法で製作致しました。大変、手間と時間の掛かる技法ですが、見る角度によって変わる虹色の光沢が非常に美しい、最高級の漆芸技法です。

何年くらい昔に製作されたのかは不明ですが、かなりの年数が経過していると思われます。木地に白胡粉(貝殻の粉末と膠を混ぜたもの)を塗って、その上に彩色を施す、極彩色という技法で製作されていますが、経年劣化により、下地が剥げてしまい、彩色も色あせたり、埃で黒ずんでいます。所々彫刻も欠損しています。
