日本人の多くの方が「仏教信徒」だと言われていますが、信仰心の強い方はそれほど多いわけではありません。仏教を強く信仰しているわけではなく、ただ単にご先祖様や亡くなった家族の供養をしているだけという方が増えてきました。つまり「無宗教者」が増えてきており、お墓を建てない、お墓に埋葬しない、お仏壇の必要性がわからないという方がいらっしゃいます。
しかし、ご先祖様がいらっしゃる以上、そしてお亡くなりになられたご家族をきちんと供養するためにも、お墓やお仏壇は必要不可欠なのではないかと思います。

仏教の中にも、さまざまな宗派があることをご存知でしょうか。各ご家庭によって宗派に違いがあるもので、また、宗派ごとにお仏壇にも違いがあります。そのため、お仏壇を購入される前に、ご家庭の宗派をしっかり把握しておかなくてはなりません。
もちろん、無宗派でお祀りできるお仏壇もありますが、宗派を重んじる方は特に、お仏壇を購入する前にきちんと確認しておきましょう。
ここでは、宗派によるお仏壇の選び方と仏具の飾り方を簡単にご紹介していきます。お仏壇選びに困っている方は参考にしてください。

【宗派によるお仏壇の選び方】と【仏具の飾り方】各宗派一覧
(各ご家庭の宗派のボタンをクリックすると、各宗派の説明へジャンプします。)
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浄土真宗 本願寺派(西本願寺) 真宗 大谷派(東本願寺)
浄土宗 真言宗
天台宗 臨済宗
曹洞宗 日蓮宗


浄土真宗 本願寺派(西本願寺)


■浄土真宗 本願寺派(西本願寺)
西本願寺を本山とする宗派が「浄土真宗本願寺派(西)」です。
浄土真宗本願寺派のご本尊は阿弥陀如来です。お仏壇は基本的には「金仏壇」です。阿弥陀如来のおられる極楽浄土を表したのが「金仏壇」です。
金仏壇は宗派によってお仏壇の形が違いますので、西本願寺派用のものを選んでください。ただ、近年では生活様式の変化もあり唐木仏壇や家具調仏壇を購入される方も増えています。その場合、ご本尊や仏具は西本願寺派用のものを揃えるようにしましょう。

<浄土真宗 本願寺派(西本願寺) お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(阿弥陀如来)−最上段中央に安置します。一般的には掛軸が多いです。
脇掛−阿弥陀如来に向かって右側に「親鸞聖人」、向かって左側に「蓮如上人」の掛軸を掛けます。
 ※地域によっては「九字名号」「十字名号」を飾る場合もあります。
 ※ご本尊、脇掛ともに正式には御本山からお受けします。
上卓(うわじょく)−中央の阿弥陀如来の前に上卓を置き、仏飯器と四具足を置きます。
仏飯器(ぶっぱんき)−脇掛の前に仏飯器を置きます。
供笥(くげ)または華足(けそく)−供物台です。法要時には上卓の両脇へ置き、小餅または落雁(らくがん)をお供えします。

A前卓(まえじょく)または中段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ【普段は香炉1コ 花立1コ 火立1コ の三具足(みつぐそく)でも良いです】
打敷(うちしき)−三角形の金襴布です。法要時には前卓(まえじょく)に掛けます。

B最下段に飾るもの
見台(けんだい)と過去帳−過去帳とはお亡くなりになられた方の法名(ほうみょう)や没年月日、俗名(ぞくみょう)、続柄を記す記録帳のことです。見台とは過去帳を乗せる台のこと。それを向かって右側に置きます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
和讃箱(わさんばこ)−正信偈(しょうしんげ)、和讃(わさん)本を納める箱です。
御文章箱(ごぶんしょうばこ)−蓮如上人が著した御文章本を納める箱です。
浄土真宗 本願寺派(西本願寺)仏壇参考写真 浄土真宗 本願寺派(西本願寺)飾り方参考図



真宗 大谷派(東本願寺)


■真宗 大谷派(東本願寺)
東本願寺を本山とする宗派が「真宗 大谷派(東)」です。
真宗大谷派のご本尊は阿弥陀如来です。本願寺派と同様、金仏壇が基本となっています。東本願寺派専用のお仏壇を購入して下さい。
唐木仏壇や家具調仏壇を購入される場合、ご本尊や仏具は大谷派の正式なものを揃えるようにしましょう。

<真宗 大谷派(東本願寺) お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(阿弥陀如来)−最上段中央に安置します。一般的には掛軸が多いです。
脇掛−向かって右側に「十字名号」、向かって左側に「九字名号」の掛軸を掛けます。
 ※ご本尊、脇掛ともに正式には御本山からお受けします。
上卓(うわじょく)−中央の阿弥陀如来の前に上卓を置き、仏飯器と火舎香炉(かしゃごうろ)、華瓶(けびょう)を置きます。
供笥(くげ)または華足(けそく)−供物台です。法要時には上卓の両脇へ置き、小餅または落雁(らくがん)をお供えします。

A前卓(まえじょく)または中段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ花立2コ火立2コ【普段は香炉1コ花立1コ火立1コの三具足(みつぐそく)でも良いです】
打敷(うちしき)−三角形の金襴布です。法要時には前卓(まえじょく)に掛けます。

B最下段に飾るもの
見台(けんだい)と過去帳−過去帳とはお亡くなりになられた方の法名(ほうみょう)や没年月日、俗名(ぞくみょう)、続柄を記す記録帳のことです。見台とは過去帳を乗せる台のこと。それを向かって右側に置きます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
和讃箱(わさんばこ)−正信偈(しょうしんげ)、和讃(わさん)本を納める箱です。
御文箱(おふみばこ)−蓮如上人が著した御文章本を納める箱です。
真宗大谷派(東本願寺)仏壇参考写真 真宗大谷派(東本願寺)飾り方参考図



浄土宗


■浄土宗
知恩院を本山とする宗派が「浄土宗」です。
浄土宗のご本尊は阿弥陀如来です。お仏壇は極楽浄土を模した「金仏壇」が基本ですが、近年では唐木仏壇や家具調仏壇を購入される方も増えています。

<浄土宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(阿弥陀如来)−最上段中央に安置します。一般的には仏像が多いですが、掛け軸でも良いです。
脇侍(わきじ)−阿弥陀如来の左右に「法然上人」と「善導大師」を安置します。仏像でも掛軸でも良いです。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−ご本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
茶湯器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ花立2コ火立2コ 
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けてお供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
木魚(もくぎょ)−木製の鳴り物 読経時に必要です。
伏鉦(ふせがね)−御念仏に合わせて拍子をとる為の金属の鳴り物 読経時に必要です。
浄土宗仏壇参考写真 浄土宗飾り方参考図



真言宗


■真言宗
弘法大師(空海)を開祖とする宗派です。総本山は高野山です。
真言宗のご本尊は大日如来です。
地域によって選ぶお仏壇に違いがあるものの、比較的、唐木仏壇が多いようです。
近年は家具調仏壇を購入される方も増えています。

<真言宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(大日如来)−最上段中央に安置します。一般的には仏像が多いですが、掛け軸でも良いです。
脇侍(わきじ)−大日如来の左右に「不動明王」と「弘法大師」を安置します。
 仏像でも掛軸でも良い。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
茶湯器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ 
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けてお供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
真言宗仏壇参考写真 真言宗飾り方参考図



天台宗


■天台宗
比叡山延暦寺を本山とする宗派です。
天台宗のご本尊は一般的には阿弥陀如来ですが、特に規定はありません。天台宗も唐木仏壇が多いようですが、特に決まりはありません。

<天台宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(阿弥陀如来)−最上段中央に安置します。仏像でも掛け軸でも良いです。
脇侍(わきじ)−阿弥陀如来の左右に「天台大師」と「伝教大師」を安置します。仏像でも掛軸でも良いです。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−ご本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
湯茶器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ 
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けてお供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
木魚(もくぎょ)−木製の鳴り物 読経時に必要です。
天台宗仏壇参考写真 天台宗飾り方参考図



臨済宗


■臨済宗
臨済宗には特に決まったお仏壇はありません。
臨済宗にはさまざまな分派があるため、お仏壇内の飾り方に違いがあります。ご本尊は特に定められていませんが、お仏壇の場合は釈迦牟尼仏が一般的です。お仏壇に飾るものに関してはご自分の各派に適したものを選び飾るようにしましょう。
それがよく分からないという場合は、ご先祖様のお墓のあるお寺様に聞いてみると良いでしょう。一般的なお飾りをご案内します。

<臨済宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(釈迦牟尼仏)−最上段中央に安置します。仏像でも掛け軸でも良いです。
脇侍(わきじ)−各派によって違います。妙心寺派は向かって右に無相大師、左に花園法皇を安置します。仏像でも掛軸でも良いです。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−ご本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
湯茶器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ 
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けて御供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
木魚(もくぎょ)−木製の鳴り物 読経時に必要です。
臨済宗仏壇参考写真 臨済宗飾り方参考図



曹洞宗


■曹洞宗
福井県の永平寺又は神奈川県の総持寺を本山とするご宗派です。
曹洞宗のお仏壇は唐木仏壇であることが多いようです。
しかし、特に決まりはないので、金仏壇でも家具調仏壇でも問題ありません。曹洞宗のご本尊は釈迦牟尼仏です。

<曹洞宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(釈迦牟尼仏)−最上段中央に安置します。仏像でも掛け軸でも良いです。
脇侍(わきじ)−釈迦牟尼仏の左右に「常済大師」と「承陽大師」の脇掛を飾ります。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−ご本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
湯茶器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ 
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けてお供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
木魚(もくぎょ)−木製の鳴り物 読経時に必要です。
曹洞宗仏壇参考写真 曹洞宗飾り方参考図




日蓮宗


■日蓮宗
日蓮宗は山梨県の身延山久遠寺を総本山とする宗派です。
関西地域では、法華檀と呼ばれる日蓮宗専用のお仏壇がありますが、その他の地域ではとくに決まりはありません。一般的には唐木仏壇が多いようです。
日蓮宗のご本尊は大曼荼羅です。
※日蓮宗には多くの分派があります。それぞれ少しずつお祀りの仕方が違いますので、詳しくはお寺様に御確認下さい。

<日蓮宗 お仏壇に飾るもの>

@最上段に飾るもの
ご本尊(大曼荼羅)−大曼荼羅の掛軸を最上段中央に掛け、その前に三宝尊、さらにその 前に日蓮聖人の仏像を安置します。
脇侍(わきじ)−大曼荼羅の左右に「大黒天」と「鬼子母神」の脇掛を飾ります。仏像でも掛軸でも良いです。※地域によっては右に「大黒天」、左に「鬼子母神」を安置します。

A最上段より一段低い位置に飾るもの
お位牌−ご本尊が隠れないように配置します。

B最上段より二段低い位置に飾るもの
湯茶器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)
高杯(たかつき)−お供物を供えるための高杯を左右に置きます。

C最下段に飾るもの
五具足(ごぐそく)−香炉1コ 花立2コ 火立2コ 
過去帳・見台(けんだい)−過去帳とはお亡くなりになられた方の法名(ほうみょう)や没年月日、俗名(ぞくみょう)、続柄を記す記録帳のことです。見台とは過去帳を乗せる台のこと。
霊具膳(れいぐぜん)−法要時には精進料理を盛り付けてお供えします。
打敷(うちしき)−長方形の金襴の布です。法要時には最下段又は中段に掛けます。
リン−読経の時に必要な荘厳具です。
木柾(もくしょう)−木製の鳴り物 読経時に必要です。
日蓮宗仏壇参考写真 日蓮宗飾り方参考図


このように、宗派によって本尊や仏具に違いがあります。
ですからお仏壇を購入する際は、仏壇店にて宗派や菩提寺(お寺様名)をきちんと告げることをおすすめします。
また、宗派関係なく購入するという場合は、好みのものやお仏壇を置く部屋に合ったものを選ぶと良いでしょう。

弊社シメノは1806年に大阪府岸和田市で創業以来、伝統技術と伝統文化を守り続けてお仏壇一筋に歩んでまいりました。
宗派によるお仏壇の選び方はもちろんのこと、お仏壇のことなら何なりとご質問くださいませ。